ガードマンに促され、先に車に乗り込んだランディだったが、すぐに顔色が変わった。
それを見ながら界も車に乗り込む。




『久しぶり。ランディ』



 高級な車内は革製の白いシートが向かい合わせで座れるようになっており、ワインサービスまである。

 ランディの向かいのシートには女性が座っていた。

 ライトブラウンのストレートヘアは、痛みなど知らないと言わんばかりにツヤツヤだ。


『びっくりした! なんだ、お前も乗ってたのか。2ヶ月ぶりくらいだな』


 ランディから余裕が消えた気がする。界はこの女性に嫌な予感がした。


『ちょうど学会の帰りで。
……へぇ。そちらの方がアシスタント? あなたにアシスタントがいたなんて聞いた事もなかった』

『初めて連れて来たからな。シンゴ・スズキってんだ』

『よろしく』


 界は簡単に挨拶し、一応握手を求めた。女性は握手に応えながら笑顔で自己紹介をした。


『こちらこそ。私はアイリーン・イーグルトン。幹部コードはヘスティア。』



 瞬間、界は握った手の部分から全身にかけて身の毛が弥立つ思いだった。



 彼女こそ紅龍會の最高幹部の1人、ヘスティア。



 イオやランディの親友という人物。そして……。