HEMLOCK‐ヘムロック‐

 ランディは真っ直ぐ前を向いて話した。通りの門を見ているようだが、迎えの車が来る気配はまだない。

 界は抑えたトーンで淡々と答える。


『俺が紅龍會を潰す事がヘスティアの助けになるならな。
……実際、会ってみなきゃ“俺にとって”はソイツの事なんか何とも言えねーよ』

『そうだよな。“お前にとって”は、紅龍會の総帥なんかよりずっと、憎い相手だろうからな……』


 対するランディの声にはどこか憐憫の響きがあった。

 今や2人は視線を合わせる事無く、同じ方向を見ていた。見ているだけで、殆ど意識はしていない。






『ああ。殺したいくらい、だ』

 界の渇いた声が、通りに静かに響いた。