『“ヘルメス”ってコードは組織内か、仕事中しか普通使わねんだ。
しかもお前は組織の人間じゃねぇんだから知ってたらおかしいだろ? 俺の事は“ランディ“って呼んでくれな』
メールを打ち終わったらしく、黒いケータイをコートの内ポケットにしまいながら、笑顔で界に握手を求めた。
界は先程のキレてた彼を見てる分、この男が優しいのか、賢いのか、信用は置けるのか。まだ計り切れない。
『で? なんか質問か?』
『ああ、イ……、アポロンは、あんたに頼めば大丈夫って言ってたけど……、実際どういう手順で俺を連れて行ってくれるんだ?』
『俺の前ではアイツの事は“イオ”で大丈夫だ。こっからは車で行くんだ。今迎えを呼んだ』
さっきのメールは『迎えに来て』という催促のものだったのだろうか?
ちょうど道路標識の所でランディは歩みを止めた。
この辺りは道路も整備されていて、車庫のような、ガレージのようなものが連なっているが、ほとんどはシャッターが降り、人気も2人の他には無かった。
『ちなみにお前には俺のアシスタントって設定で付いて来てもらうぜ』
『アシスタント? 幹部の部下って事か?
組織では部下ってか、下っ端までは顔とか把握されて無いのか?』
『あー……、いや、組織の部下って事じゃねんだわ。俺の“本業”の方』

