『――――!!?』
『えぇ!?』
フランス人の男は爆音のバイクを運転しながら、後ろに乗る界に何か話し掛けたたらしいが、風と走行音と慣れないフランス語で全く聞き取れなかった。
いつの間にか市場のような市街は抜け、周りの景色は都市部に近づいてきた。
道もアスファルトに変わってきた。
男が向かった先はレンタカーの店であった。店のガレージに入り、バイクのエンジンを止める。
『ついたぞ。ホラ、降りな!』
界は慣れない高さのバイクから不器用に降りると、男にキャリーバックを投げ返された。へっぴり腰で受け止め、危うくそのまま尻餅をつきそうになる。
『おし、キズは付いてねぇな』
男はしゃがんで、オヤジにバイクを蹴られた位置を確認していた。
『おっちゃーん! バイク返すからな!』
男はガレージの台にお金を置き、そのまま去ろうとしたが、ガレージの外から店の主が現れ、男と鉢合わせた。
『延滞料金忘れとる』
『チッ』
男はコートからクシャクシャのお札を取り出して店主に渡すと、スタスタと歩き始めたので、界もキャリーバックをガラガラと引きながら慌てて後を追った。

