HEMLOCK‐ヘムロック‐

 イオはゆっくりと盟に吸い寄せられる様に顔を寄せた。

 白雪姫の王子様が、何故初対面のよく知りもしない女の屍なんかにキスなど出来たのか?

今ならその衝動に痛い程共感出来る。


「メイ……。

俺じゃ、

ダメ……?」




 イオの息が乾いた唇に掛かる距離でも、盟の反応は無かった。


 イオはそのまま唇を重ねた。



 盟は無抵抗に目だけを閉じた。イオが盟の掌に自分掌を重ね、強く握っても、振りほどいたりはしなかった。




 僅かに2人の息が上がって、イオはやっと盟から離れた。あまりに盟が無抵抗で、不安だった。


「メイ……」



「イ、オ……。
……ごめんなさい」

「え?」

「ごめんなさい、ごめんなさい……」


 盟の目はまだ涙で溢れていたが、微かに生気が戻った気がした。掠れた声に、先程より意志が宿っている。










「私……、界が好き」







 その瞳にイオは映っていた。彼は笑いながら再び盟の手を強く握る。俯き様に涙が布団に落ちた。


「知ってるよ。そんなの」



 暫くイオは盟の手を握ったまま泣いていた。盟も涙が止まらなかった。