HEMLOCK‐ヘムロック‐

 そのセリフで、さっきの夢で思い返してた界とのやり取りが思い起こされ、盟の目頭は再び熱くなった。
しかし、今の彼女には泣くのも辛く、弱々しく目を閉じるのが精一杯だった。

 溢れた涙が頬を伝う。


「メイ……」


 イオが盟の涙を拭う。再び開いた盟の瞳は、虚ろで生気が無かった。

しかし、酷く美しい……。


「メイ、何か食べたい?」


 盟は黙って首を横に振る。そうしてる内にまた一筋涙が通った。


「飲み物は? 喉渇かない?」


 イオがどんなに努めて明るく尋ねても、盟は黙って首を横に振るばかりだ。
最早彼女には涙を拭う気力も残って無いらしい。


「メイ、欲しいモノ言って。何でも取ってくるよ」



「……か」


 盟の反応にイオは優しく首を傾げた。


「い」




 界――。


 イオは言葉が見つからなかった。

 盟は生ける屍の様に無気力で、涙だけが溢れていく。もう嗚咽すら彼女からは出なかった。



「メイ、泣かないで。しっかりして」


 イオが近くで覗き込んでも、その瞳は何も映していない。

まばたきすら起きない。