HEMLOCK‐ヘムロック‐

 その時コンコンとノック音が聞こえてきた。盟が今居る、葬儀会館のホテルのヘアのドアからだった。

 ドアを開けると界が居た。

 今の盟なら、当時の界宛ての遺言の内容を知っている。
きっと界も自分の両親が組織と関わっていると知り、新たにショックを受けたのだろう。


 だが当時の盟はそれを知る由も無かった。


「界、私……」


 自分宛ての遺言を読み、ただひたすら盟は謝りたかった。

しかし、遺言には界や礼二にこの事を告げるなと書いてある。
当然だ。界に組織の事を話すのは、彼を自分の生い立ちに巻き込む事になる。


「盟、本当に悪かった」


 先に謝ったのが界で、盟は驚いた。
何故界が謝っているのか、当時の盟には分からない。
しかも土下座までしている。


「今まで、お前の事ずっと避けてた。お前が悪くないのは知ってたけど、何かのせいにしたかったんだ!」

「な、何言ってるの? 界?」



 避けられていた事。
 解っていたが、解らないフリをした。盟は声の震えが止まらなかった。


「俺が大人気なかった。ごめん、ごめん……」