HEMLOCK‐ヘムロック‐




(私が泣いている)


 盟は体育座りでしゃっくりを上げながら泣いている少女になっていた。まさしく自分自身だった。

しかしもう一つの意識はどこか客観的であった。


深く傷ついて悲しい自分と、どうして悲しんでいるのか解らない自分。

 隣にあるのは小学3年の時に描いた家族の絵。


(そうだ。今でもハッキリと憶えている)




「俺はお前の兄ちゃんじゃ無いけどな」




(あの言葉に、今の私は泣いているんだ。
当時は界が怖くて怖くて仕方なかった。

何がそうなのかは解らないけど、界に酷く恨まれいる感じがして、近づけなかった。
義兄妹として、当たり障りなく接するのが精一杯だった)


 次に気付いた時は、盟は女子高生だった。


(ああ、今度は父が亡くなって泣いている)



 違う。


 父の遺言を読んで泣いていた。


(私の生い立ちが普通で無い事は解っていた。でも、界の家族の死に関わっていたなんて知らなかったし、知りたくなかった。
今まで何も知らずに界に接してきた自分を呪った。
界は私と自分の家族の事件の関わりを知っていたの? でも、知らなくても気付いていたに違いない。

私なんかどこかに消えればいいのに。父が自分も連れて逝ってくれれば良かったのに……)