「“裏稼業”の売り上げを世にも出す為か?」
界の質問にイオは頷きながら答える。
「そゆこと。まぁ本業はあくまでマフィアだから。製薬会社は社会的立場上のダミーくらいに思ってて。
で、俺はどちらかと言うとその製薬会社寄りの仕事をして来たんだ。俺の紅龍會での役割は主に『企業スパイ』だよ」
「スパイ!?」
泉が目を輝かせながらイオを見た。どうせ『007』みたいなスパイを想像してるに違いない。透は呆れて物が言えない。と言った様子だ。
企業スパイとは同業等の他社に社員として潜入し、その会社のノウハウや実績など、目的に併せて様々な情報を盗む行為である。
イオが城戸 勇として礼二の会社で秘書をしていたのも、ある意味同様の手口である。
「そんなに君達探偵と大した違いは無いよ」
「でもお前は紅龍會の“幹部”だったんだろ?」
界の言葉に透と泉は彼を見た。
まだ若いイオが幹部と言う地位にいるなんて2人は思ってもみなかったからだ。
「よく分かったね。俺が幹部って」
「お前はいくら小さい頃から組織に居たとは言え、内情に詳し過ぎる。
てか、紅龍會の幹部がギリシャ神話の神の名前で呼ばれる事は知っていた」

