HEMLOCK‐ヘムロック‐


「久々に依頼の作戦会議だぞ!」








 1週間前。

 界がイオを興信所で雇うと言い出したあの日、その後の出来事。

 まず透はその事に大反対だった。


「界、やっぱりアイツは警察に引き渡すべきだ」


 礼二と詠乃が帰った後、興信所のソファーでまったりと足を組んで我が物顔でくつろぐイオを指差して透が言った。


「警察に引き渡すのは俺や盟にも色々面倒なんだよ」


 所長イスに座る界はこめかみ辺りを押さえながら答える。目を閉じ、何か考え込んでいる様な仕草。


「そうかも知れないけど、せめて森永刑事に相談しとくべきだろ」

「森永刑事の地位じゃ限界がある」


 それはイオや紅龍會の存在を公には“隠す”と言う意味だった。


「それにコイツを野放しにしといても、俺達は危険だ。まりがウチに居るってバラすかも知れない」


 イオは紅龍會を抜け出す際に、界との交渉の為にまりも連れて抜け出して来たのだ。
その為紅龍會はイオだけでなく、まりの事も探しているに違いないと界は確信している。

 まりの事を言われると流石の透も黙るしかなかった。




 まりは今、奥の界の部屋で眠っている。
 盟がそれを確認して事務所の部屋に戻って来た。そのままイオの目の前に腰掛ける。
彼女を見てイオの顔が色めき立つのは皆に明らかであった。