HEMLOCK‐ヘムロック‐

 界はしばらく警察で保護されていたが、大人達が両親や妹の事を疑ってるのをなんとなく知っていたし、何度も事件について聞かれ、ウンザリだった。

両親の葬儀が行われたのは司法解剖が終わった後だったし、葬式にはマスコミに囲まれ、フラッシュを浴びた。

学校に行こうと一歩外に出れば、怪しい記者に声をかけられる。
その様子を見て通行人達が「あの事件の……」と耳打ちしたのが聞こえた。しかし学校に着けば、反対に界に寄る者は居なかった。先生ですら。


 独りになりたい界には、その時間が一番落ち着いたが、本当は孤独過ぎた。


 独りになりたいのに、彼の周りには余計な人間が沢山いた。

 助けて欲しいのに、誰一人彼に手を差しのべる人間は居なかった。


 引き取り先の孤児院が決まるまでの1ヶ月で、界の心と頭髪は真っ白になってしまったのだ。



 今でこそ本人も周りも落ち着いているが、日本中が悲劇の少年を忘れた訳ではない。

界はこの男が金持ちで、この孤児院に毎回多額の寄付をしている事を知っていた。

この男は自分を養子にでもして慈悲深さを世間にアピールしたいのだろう。そんな蔑みの感情で界は目の前の男性を睨んだ。