HEMLOCK‐ヘムロック‐



「お前はここで殺す」


 界は本気だった。泉は初めて見る界の姿に怯え、わなわなと涙している。

 盟は界の腕の中で首を左右に激しく振りながら、必死に「やめてくれ」と訴える。
それでも尚、イオに向かおうとする界に、透も掴んで止めに入った。


「界!」

「紅龍會を裏切って来た!? そんなデタラメ通用すると思ってんのかぁ!!?」


 界が大きな音を立ててテーブルを蹴り上げ、泉は悲鳴をあげて遂にその場にへたり込んでしまった。自分は悪夢を見ているのだろうか?


「界っ!! 落ち着け!」

「界っやめ゛て~っ!!」

「俺は! お前達を許さない!! おま……」


「人の事が言えるの? 伯方 界!」


 イオに旧姓で呼ばれ、界の動きが停止した。


「それとも君は知らないの? 全部君のお父さんの……いや、両親の自業自得だろ?」


 界は怒りで震えながらも、その感情の矛先を見失い、動けなくなった。


「俺や盟はある意味、君のお父さんの被害者だよ!」


 その時、興信所の扉が勢い良く開く音がした。