HEMLOCK‐ヘムロック‐


「アンタが紅龍會なの!?」

「泉!!!?」


 泉の発した一言に界と盟が振り返り、透は「正気か!?」と飛び出しそうな目で訴えかけた。
 アポロンは泉の発言に意外そうな、でも期待でワクワクとした子供の様な笑顔になった。


「界くん、盟、ごめんなさい! 泉と透くんは2人がホントの兄妹じゃないって知ってるんだよ」

「泉、やめて……」


 盟の顔は目に見えて解る程青ざめていった。

 透は泉の告白に観念して界を見たが、界は驚く事も咎める事もなくテーブルの角ら辺を黙って見つめている様だ。
界と盟が黙っていた秘密がバレてしまったと言うのに、界にとっての核心ではないのだろうか。等と、透は考察していた。


「アンタが礼二さんの所で何かコソコソ調べてたんでしょ!? 界くんと盟をどうする気なの!?」


 泉は礼二の社長室での盗聴器の事を言っていた。泣きながら、半分パニックを起こしているらしい。

 黙っていた界がやっと口を挟んだ。


「コイツの事は気にするな。勝手にどこかで変なウワサに惑わされただけだ」

「ウワサで紅龍會の名前を耳にするなんて、スゴい子だね」

「俺と盟で十分だろ!!!?」



 界の大声が部屋に響く。

その声は明らかに怒りと焦りを含んでいた――。