HEMLOCK‐ヘムロック‐




 興信所にいる人間は全員、城戸 勇が変貌したアポロンを見ていた。


 アポロンは再びソファーにつき、アタッシュケースからメイク落としのシートを取り出し、メイクを落とした。
眉やこめかみの色が黒から茶色に変わる。
肌も全体的にオークル系の色を差していたのか、シートで拭うと更に肌は白くなり、日系アメリカ人だった男はまた別の白人に変身した。

 アポロンのソレはメイクと言うより“メーキャップ”だ。

 界も普段や捜査の時、よくカツラを被る程度の変装はしたが、アポロンのソレは魔法の様だ。全ての変装を解いた今、彼の骨格までもが違って見える。


「メイ」


 アポロンが再び盟を呼び掛けた。彼女の肩がビクッと震える。
アポロンの頭は全体的に金髪、襟足が茶髪に分かれている。クシャクシャと乱すと、カツラで潰れていた髪がだいぶマシになった。

サラサラの髪が窓から差し込む光にキラキラと透ける。


「俺……」