HEMLOCK‐ヘムロック‐


「城戸さーん!! こんにちはっ! 昨日ぶりですねっ」

「昨日ぶり?」


 いつの間にか怪訝そうな顔の盟がすぐ後ろにいて、泉は口から心臓を吐き出しそうになった。
 泉は昨日、仮病で興信所を休んで礼二の元に行ったのだ。

しかしそこで勇が口を挟んだ。


「黒菱 盟さんですよね!? 社長、礼二さんの妹さんの!」


「そうですが……。あなたは?」


 若干、興奮気味な勇に、透同様、盟も引き気味だ。


「申し遅れました。私は現在、礼二さんの元で秘書をやらせて頂いてます! 城戸 勇と申しますっ」


 盟が泉をぱっと見た。「どうして昨日、兄さんの秘書と会っているの?」と表情で語りかけているのは、泉にも痛い程伝わった。

「お茶の準備してきま~す☆」と、泉は給仕室に引っ込んでしまった。


「はじめまして。私は黒菱 盟です。ここの所長秘書です。兄がお世話になっております。とりあえず奥へどうぞ」


 盟が勇を案内すると、ちょうど透の携帯に電話が掛かって来たらしく、透は盟に「ごめん!」と目配せして資料室に入っていった。

 事務所には盟と勇の2人きりになってしまった。

 とりあえず盟はソファーを勧めた。
改めて勇の顔を見ると、実に端正な顔立ちだ。と盟は思った。