「この遺言書は暗号になっているのです。文章の頭文字を拾ってみて下さい」
「あ! 行の頭だけ繋ぐってヤツですね!? え~と、こ、あ…」
「違うよ。文章って、“。”までの1文だよ」
帰国子女の泉は、日本語の文法に弱かった。
代わりに透が、泉の持つ遺言書を覗く。
「こ、う……、り、ゆ、う……か、い……」
自分で口にして、透は驚きに再び瞠目し、遺言書を見返した。
「“こうりゆうかい”ってまさか……、“交流会”じゃないですよね。これは」
「お察しの通り、『紅龍會』(こうりゅうかい)の方だ」
泉はまた自分だけ退け者の空気を感じ、先手を打つ。
「紅龍會って何ですか!? また呈朝会みたいなヤクザ?」
「……その通りです。呈朝会とは比べ物にならない位の巨大組織。それが紅龍會です。ヤクザなんて物じゃない」
「紅龍會は日本や世界にも極秘に支部を置いているらしいが、系統は中国系のマフィアらしい。名前は有名っちゃ有名だけど、伝説みたいなモノだと聞いてますよ?」
透は半信半疑な表情で礼二を見た。泉は知らない単語が出て来て面白くない。
「あの~、その紅龍會が礼二さんやお父様の遺言と何か関係が?」

