「あの会社じゃ、俺のやりたい事はできない」
界のその言葉に礼二の何かが崩れた。
(あの会社じゃ……?)
それは父が創り上げた会社、それを界に譲った父、譲られなかった自分。
全てを否定された様な気がした。
(界、お前は……)
バキッ!!
礼二は立ち上がり、初めて界を殴った。言葉より先に手が出てしまったのだ。
「兄さん! 界!!」
物音を聞きつけて盟が飛んできた。この頃まだ彼女は高校生だった。
椅子から転げ落ちた界を盟が抱き起こす。
「界、お前は金輪際、跡継ぎの心配なんかしなくていい。あの会社は俺が継ぐ」
血が滲む口元を拭いながら界も立ち上がった。
「それが普通だろ。有り難く御言葉に甘えさせていただくよ」
「界!!」
部屋から出て行った界を盟も追いかけて出て行った。バタンという音で礼二は独りになってしまった。
(父さん――何故界なんだ? 何故界は父さんを裏切った――?)

