HEMLOCK‐ヘムロック‐

 そのくだりを聞いて2人は、改めて界と盟が血の通った兄妹では無いのだと認めざるを得なかった。
やはりどこか認めたくはなかったと言う気持ちと共に。


「盟はまだ9歳になったばかりで。私も父もとても可愛がって甘やかしていました。しかし、界だけはなんとなく彼女を避けていました」


 それは今の界と盟からは想像もつかない事実だった。
が、当時界の本当の妹が居なくなり安否も判らない中、新たな妹を紹介されても接し方が分からなくなるのは当然かもしれない。


「しかし5年前、父が亡くなったのをきっかけに何かが変わったのです」














 それは5年前。礼二達の父、黒菱 灰仁(くろびし はいじ)の葬儀の前夜の話だった。

 弁護士が灰仁の遺言書を持って界、盟、礼二の元に訪ねてきたのだ。と言っても葬儀会場のホテルの部屋にだが。

 この頃はまだ3人共、今では礼二しか住んでいない立派な一軒家で一緒に暮らしていた。
それでも生前の父の人望は厚く、葬儀に訪れる人数は途方も無かったので、大きな会館を借りたのだ。

 父が遺言を残している事は知っていたが、葬式前夜のこの忙しい時に来るのはどうだろうと礼二は思ったりしていた。