一通り部屋を調べ終わり、礼二は発見器をしまうと共に1冊の本を机の引き出しから取り出した。
礼二が差し出した黒い本はアルバムだった。
中学生の界、大学生の礼二、そして白髪混じりの厳格そうな男が写っている写真がある。
「それは父です。父は寄付をしていた孤児院の施設で界と出会い、将棋のライバルになったんです」
「将棋の? ライバル??」
「父は有段棋士に匹敵する程、将棋が強かったのですが、界には全く勝てなかった様です。
父はすっかり界を気に入ってしまい、ついに養子に迎えるにまで至りました」
透は写真をじっと見ていた。そこに写っているのは、確かに透が2年だけ共に過ごした孤児院時代の界で、無意識に懐かしそうに目を細めてしまう。
(そう言えば、この頃の界は施設に来るこの男性とよく将棋を打ってた。あの人が黒菱さんで、礼二さんのお父さんだったのか)
「私はずっと一人っ子で、弟や妹が欲しかったので、とても嬉しくて。毎日界とは色々な話しをして過ごしていました」
「本当ですか!? 全然想像出来ない~!」
言ってから泉は「しまった」と焦る。しかし礼二の表情は険しくなったりはしなかった。
「その次の年に、父は今度は盟を連れて来て、彼女も家族になったのです」

