HEMLOCK‐ヘムロック‐

 完敗を認めた礼二は席を立ち、大きな窓の前で広がる新宿の風景を見つめた。

 その背に向かって、透は静かに問いかけた。


「どうして、あなた達は『HEMLOCK』を知っているんですか? ――界や盟、礼二さんにとって、一体何なんですか?」


 その質問に礼二は黙ったままだった。が、やがて語り始めた。


「何かと言うなら“界と盟の秘密”ですね。それは、私が追い求めている物でもある……」


 「要するに私も知らないのです」と礼二は付け加えた。
 透と泉は、不思議そうに顔を見合わせる。


「私の知っている事だけお話ししましょう」


 そう言いながら、礼二は机からトランシーバーの様な機械を取り出し、部屋のあちこちにかざし始めた。
透も泉もすぐにそれが盗聴器を発見する機械だと解った。


「この部屋盗聴されてるんですか!?」


「されていてもおかしくはない。あなた方が来る前にも確認はしたが……、今あの2人はそういう状況下にあるんです」

「界くんと盟が!?」

「あなた方にもその覚悟がないとお話しは出来ません」


 礼二は特に入り口のドア付近を念入りに調べていた。機械に反応はない為、少なくとも盗聴はされていないらしい。

 透は泉を見た。少女は不安げな表情ではあるが、口を真一文字に結び、頷いて見せてくれた。


「聞かせて下さい」