HEMLOCK‐ヘムロック‐

 透は泉の発言よりも、その言葉が指す意味に驚き、瞠目した。


「礼二さん……! あなた、『HEMLOCK』を知っているんですか!?」


 透はまさか礼二までもが『HEMLOCK』の存在を知っているとは思っていなかった。 確実に礼二の顔色が変わった。



「いつからなんですか!? 先週の鞠 あさみの事件まで、世界に存在すら知られてなかったクスリですよ?」

「あなた方だって以前から知っていたじゃないですか」

「それは俺が『HEM』の事件の当事者だからだ! あなたは何故知っているんだ!?」


 礼二は答えなかった。この反応に泉は強い手応えを感じ、追い討ちを掛けた。


「最近界から聞いた……、なんて言わせないよ? 礼二さんと『HEMLOCK』の話ししたの、アサミンの事件より前だもんね?」


 泉のダメ押しがトドメとなった様だ。
 礼二は目を閉じ、深くため息をついた。


「貴女を見くびっていました」

 再び開いた礼二の目は憎悪でも冷徹なモノでもなく、どちらかと言えば寂しげだった。
口元は微笑んでいたが。


「あの時貴女には、「知らない」と言うべきでしたね」