「盟! 兄貴の事兄さんって呼ぶくせになんで俺の事は兄さんって呼ばないんだ!?」

「兄さんって呼ばれるような存在になってみなさいよ」


 界の膨れ面に盟の氷の様な冷たい視線が突き刺さり、界は撃沈した。

 そんな2人を15歳の少女が宥める。


「まぁまぁケンカしないでさぁ~。橘さんの奥様の調査について作戦立てよっ♪」

「「お前はただのバイトだろっ!?」」


 界と透が仲良く揃ってツッコんだ。


「キー!! 2人でハモんないでよ! 誰のおかげで探偵できると思ってんの!?」

「ハァ……、とりあえず書類から始めようかしら」







 こうして黒菱興信所メンバーは久々のまとも依頼「橘夫人の浮気調査」を開始することになったのだ。


 まだこの時は、それがこれからの入り口になるとも知らずに……。