「この長男が界くんで、長女が盟……? 2人にこんな過去があったなんて信じられない」
泉は記事の感想を率直に述べた。
「確かにこの記事は界の事です。でもコレが、界が『HEM』を知ってる事と関係してるんですか?」
「気づかないのか? 行方不明の長女(11)だぞ?」
森永刑事はイライラと聞いた。透も負けないくらいイライラしてきた。
「何がですか!? 回りくどく言ってないで要点を……」
「あっっ!!」
突然泉が驚愕の声を上げ、透の反論を遮った。彼女は口元に両手を当て、震えながら記事を凝視している。
「なんだよ!? 泉?」
「……盟じゃない。歳、全然違う」
「え!?」
透は記事を掴んで読み直した。
新聞の長男と長女は1歳違いだ。
「この記事おかしいよ。界くんと盟、6コも離れてるんだよ?」
界は現在、26歳、盟は20歳である。
「記事は間違ってない。この事件に関連する記事は全部洗ったケド、どれも長女は“11歳”だ。
黒菱 盟は当時まだ6歳のハズ」
「ちなみに盟ちゃんは礼二さんの妹じゃない。礼二さんは黒菱 灰仁の実の息子で、界が養子に来る前は一人っ子だった。
3人とも、全く血の繋がりが無いんだ」