「兄さん、その事は……」
思わず盟が制止したが、礼二は止まらなかった。
「俺は、決してお前の事を許していないぞ。お前にとって恩人である父の遺言を無視した事を」
界は無言のまま礼二を、そして灰仁の墓を見た。
「兄さん、ごめんなさい。本当にごめんなさい……。私達もう帰るわ」
盟は界の背中を押し、礼二から逃げるようにその場を去った。
「界! 父はお前に会社を継がせたかったんだぞ!! 実の息子の俺では無くっ!! お前にだっ!!」
礼二は2人の背中に向かって叫んだが、2人は振り返らなかった。
足元には盟や礼二が剪定していた花が散らばっていた。
森永刑事が差し出した古い記事の日付は、14年前の物であった。
『東京都内アパートで夫婦惨殺事件』
都内アパートの住人、伯方 栄太さん(37)と妻の加澄さん(33)の遺体が自宅で発見された。
第一発見者は学校から帰宅した被害者の長男(12)で、現在は警察で保護されている。
現場はひどく荒らされており、警察は強盗殺人の線が強いと見ている。
また、長女(11)が行方不明で、警察は誘拐事件としても同時に調査中である。……

