HEMLOCK‐ヘムロック‐


「あたし達も花持ってきたの」


 そういって盟は持ってきた白百合を剪定し始めた。白百合は父の好きな花だった。
界も墓に父が好きだった酒を供える。

 その様子を見ながら礼二は、一週間前会社に詠乃が訪れた時の事を思い返していた。






「“忠告”だと?」


 確かに彼女は礼二にそう言った。
詠乃は客としてでも、元秘書としてでも無く、“情報屋”として彼を訪ねて来たのだ。


「えぇ。ちなみに何の事か心当たりはある?」

「まぁな。話の流れからも『城戸 勇』の事だろう?」

「正解♪ 彼、ちょっと怪し~わよぉ。ってゆ~か礼二くん、怪しいって分かってて自分の秘書にしてるの?」

「あぁ。アイツは俺にコソコソと“界と盟”について勝手に調べてるからな。興味があるんだ」

「なんだ。やっぱり礼二くん知ってたか~」


 声こそ彼女特有の、人懐っこい印象を含んだ色で、残念そうに漏らしたが、その表情は幾分も残念そうでは無く、むしろ真剣に遠くを見つめていた。

 まるで今後の行く末を案ずるかの如く。

「興味があるとか言っちゃって、ホントは2人が心配だから、その城戸くんを見張る為に手元に置いてるんじゃないの?」

「貴女も人が悪い」


 礼二は鼻で笑った。