HEMLOCK‐ヘムロック‐

 森永刑事と映は目配せをした。「やっぱり」とでも言いたげなアイコンタクト。


「コレを見てみな。正直アタシはコレを見て“異常”を感じた」


 森永刑事が取り出したのは、古い新聞のコピーだった。









 界と盟は山道を登り切り、やっと墓地についた。

 墓地からの景色は周りの緑が映え、ここが墓場と思わせない程美しい。
近くには小川がせせらいでおり、簡易的な水道が引かれいる。盟はそこで桶に水を汲み始めた。

満水になった桶を今度は界が持ち、2人は父の墓へと向かった。


「兄貴……」


 界の眼前では、兄の礼二が一人で父、黒菱 灰仁(はいじ)の墓前でお供えの花の剪定をしていた。
 色素の薄い瞳が界の方を見る。


「界、盟も。久しぶりだな」

「兄さん」

「鞠 あさみの件、悪かった。本来ならウチの依頼だったのをお前達に迷惑かける形になったな」


 バチンと音を立てて、白百合の茎が礼二の手で切り落とされた。


「いや、兄貴のせいじゃ……。全然気にしないでくれ」

「いや、すまなかった」


 しばらく沈黙が続く。


「俺達も線香やっていいかな?」

「あぁ。父さんも喜ぶだろう」


 界は持ってきた線香の束に火をつけ、半分程を盟に渡した。
それぞれ墓に供えると静かに手を合わせ、目を閉じる。2人はしばらく父を偲んだ。