「まぁ、黒菱 界本人に聞かなきゃ分かんない話だけどさ。でも今日はもう1つ気になる事があって“透に”聞きにきた」
「俺に?」
森永刑事の言葉に透は怪訝な顔をした。そんな彼に、映がゆっくり問う。
「透、界が孤児院に来た理由、“あの事件”覚えてるか?」
透が新たに強張る様子を、泉は見逃さなかった。
「14年くらい前か。界の両親が殺されたあの事件……。忘れないよ。世間もマスコミも異様な騒ぎ方だった」
(界くんの両親は殺されて死んだ?)
最早泉は話に全然ついて行けなくなった。
「当時、小学生だった界の妹が行方不明になってたの、覚えてるか?」
映が続けて尋ねた。
「あぁ。それで犯人は妹じゃないかとかマスコミがくだらない騒ぎ方して……。
だから当時行方不明だった盟は孤児院には居なかったし、盟は界が黒菱の家に養子に迎えられた後に発見されて、それから引き取られたんだろ?」
「詳しく知らないけどさ」と透は付け加えた。
「え? じゃあ、界くんと盟って、黒菱家の養子なの!? てか行方不明とかって大事件じゃない!?」
「じゃあ透が盟と初めて会ったのは孤児院時代じゃなくて、再会した3年前って事か」
泉の発言は森永刑事に無視された。
「そうです。俺も映も。それが『HEM』と関係してるんですか?」

