HEMLOCK‐ヘムロック‐

 透は自分のデスクに座った。泉にはデスクが無いので、普段は依頼人用のソファーが固定席になっている。


「界は元々『HEM』について調査してたみたいで、……俺がここで働いてるのも、ホストやってた頃の『HEM』の事件がきっかけで界と再会したからなんだ。
だから界は俺よりは詳しいハズだよ」

「そうなんだ……。界くんって意外とスゴい仕事してるんだね」


 日本、いや、今や世界中の薬剤師達が注目している謎の薬を、自分が勤める(バイトだが)会社のヘタレ所長が知っているとは。
 泉は感心と同時にちょっぴり誇らしげになった。


 現在抱えている仕事もなく、まさに店番状態の2人は、お喋りを続けた。


「てかさ、“再会”って言ったケド、界くんと透くんていつからの知り合いなの? 学校が一緒だったとか?」


 その質問に透の表情は明らかに変化した。と言うより固まってしまった。


「え? 泉、ヘンな事聞いた?」

「いや……」


 透は返答に困った様子だ。



 自分が知っている気でいただけで、本当は彼らの事をあまりよく知らない。



泉が痛感した瞬間だった。


「なんて説明すればいいかな」

「せ、説明しにくい関係なの?」


 泉は心情を悟られぬ様、努めて明るく尋ねてみた。


「界には言うなよ?」

「え!? う、うん」


 透の真剣な面持ちに、泉の背筋に緊張が走る。


「俺達……」