「芸能人が持ってたって所が問題なんだよ。それだけでネタのデカさが違う」
「透は、大丈夫かな? 再尋問とかされないかしら?」
「アイツも結局の所、被害者だ。刑にはならないだろ」
着替え終わった界は脱衣所からでてきた。そこには寝起きで、頭がボサボサの盟が深刻そうに思考を巡らせて立っていた。
その珍妙な光景に界はちょっと吹き出した。
「大丈夫だろ。透は」
「ちょっと、笑い事じゃないでしょ?」
「いや、そこに笑ったわけじゃ……、あ゛!!」
界の大声に盟は肩をすくめた。
「何よ?」
「今日! 親父の命日だった!」
「あ!!」
午前9時前
泉が興信所に出勤すると、扉に「透と泉へ」と書かれた封筒が貼ってあった。
「え? 何コレ?」
泉は中のメッセージを見た。
意外とキレイな文字は実は界が書いたものである。
泉はその場で封を開いた。
『透と泉へ
俺と盟は父の墓参りに行ってくるので、今日1日事務所の事頼みます。
もし依頼が来たらメールか電話くれ。多分来ないけどな。
17:00頃帰る。
界より』
「えぇ? マジで!」

