「おかあさん!」

「ああ、わたしのこ・・・。そこにいるの?
ごめんね・・・おかあさん・・・もう、
目が見えないの」

「おかあさん!
ごめんね・・・ごめんね・・・」

「いいのよ。あなたが・・・生きていて
くれるだけで・・・わたしは・・・」

「おかあさん!うっ、うっ」

「泣かないで・・・
いいこだから・・・。ね?」

「・・・おかあさん・・・」

「いいこ・・・。
ねこさん・・・お願い」

「なあに?」

「わたしが・・・死んだら、この子を・・・
守って・・・くれない・・・かしら・・・。
少しの・・・時間で・・・いいの。
あと少しで・・・この子は・・・
自分の力で・・・生きて・・・
いけるように・・・なるから・・・」

「死ぬなんて言わないで!きっと治るよ!」

「そうね・・・。治る。きっと治る・・・。
でもね・・・もしも、
わたしが死んだら・・・、その時は・・・、
あの池に・・・かえるさんがいた、
あの池に・・・しずめてちょうだい・・・。
せめてもの・・・つぐないに・・・」

「分かったよ。でも、それは
まだまだずっと先の話だよ?」

「うふっ・・・そうね・・・。
こんな傷・・・早く治して・・・
この子を・・・立派に・・・育てなきゃ」

「そうだよ、とりさん!さあ!
・・・あれ?とりさん?とりさん!」



とりさんは、もう、動きませんでした。