「憶えてて、いいよ。」 公園の茂みで虫が鳴いてる。 「大切なんでしょう?その人のことが。 だったら憶えててあげて。 その人の為にも。 だから・・・」 誘蛾灯に蛾が群れてる音がする。 「私のことも、憶えていて。」 後の言葉は、涙と嗚咽で再び邪魔されたけど、 ユヅキさんには届いたと思う。 だって、痛いくらいに抱きしめてくれたから。