「あの、家は、近いんです。 そこの信号を曲がって少し行ったところで・・・ でも、一人暮らしで・・・あの・・・」 しどろもどろの私の言葉をちゃんと聞いてくれた後、 彼は、 ゆっくりと、 まばたきをした。 そして、少し困ったみたいな笑顔で、 「・・・近くまで送ろうか?」 やわらかい彼の声の響きに、 私は、 ただ、頷いた。