風のおとしもの。




「佳代さんは頭もよくて走るのも速くて、すごいんです」

「あら、そうなの」

「いえ、勉強で言えば雛乃の方が賢いですよ」

「ひーちゃん頑張ってるもんねぇ」

「数学はその、全然ですが……」



三人でかしましく喋る中、私と少年は黙々と箸をすすめた。
友達、なんだな。
いやしかし、目も吊り上っていて見るからに不良そうな少年だ。


「村井君は見た目がちょっと怖いですけど、優しい人なんですよ」

「どーも」

「照れるなよ」

「あら、照れてるの?」

「断じて違います」


わずかに眉を寄せた鷹文は、力強く言った。


「あらまぁ」


可笑しそうに笑う茜を余所に、眉間にも深いシワが寄ってく。
汚くはないが乱暴なしゃべり方をするやつだ。