***
「んのやろっ」
「ぅあ」
いつもの分かれ道に近付いたところで、村井君に追いつかれてしまった。
「あー、惜しかった」
「つーかお前、見た目より足早ぇのな」
「佳代さんが、引っ張って、くれたので」
息も絶え絶えな私たちは、とりあえず道の端に寄って呼吸を整える。
「鬼ごっこなんていつぶりかなぁ」
「久しぶりに力いっぱい走りました」
「お前ら、これが普通の鬼ごっこだと思うなよ」
「何、がんばったで賞とかもらえんの?」
「俺が鬼である以上、捕まったら相当の罰が下るんだよ」
「そういえば、さっきは驚かせてしまってすいませんでした」
私は息を整えると、深々と頭を下げた。
