風のおとしもの。





   ***


「んのやろっ」
「ぅあ」



いつもの分かれ道に近付いたところで、村井君に追いつかれてしまった。



「あー、惜しかった」

「つーかお前、見た目より足早ぇのな」

「佳代さんが、引っ張って、くれたので」



息も絶え絶えな私たちは、とりあえず道の端に寄って呼吸を整える。


「鬼ごっこなんていつぶりかなぁ」

「久しぶりに力いっぱい走りました」

「お前ら、これが普通の鬼ごっこだと思うなよ」

「何、がんばったで賞とかもらえんの?」

「俺が鬼である以上、捕まったら相当の罰が下るんだよ」

「そういえば、さっきは驚かせてしまってすいませんでした」



私は息を整えると、深々と頭を下げた。