「村井ぃ、だぁれだぁ」
「……てめぇ、一発痛い目見ないとわからないらしいな」
青筋を浮かべた村井君は、目を覆う手を力任せに引っ張った。
「ひゃっ」
「何女みてぇな声出してん―――!」
カシャッというシャッター音と共に村井君の動きが止まる。
「村井君、こんにちは」
「ぁ……おう」
「何が"おう"だよ、マジ面白いんだけど!」
佳代さんが愉快な声と共に携帯のボタンを押すと、再度シャッター音が鳴った。
村井君をこれ以上怒らせてはダメです!
頭の中では言えるのに、村井君に手を掴まれたままでは恐ろしくて口にはだせない。
だって目が、もうすごい、目が………!
「てめぇ……」
「雛乃が可哀相だよ、いきなりあんな乱暴されるなんて」
「うるせぇ、元はといえばお前が悪いんだろ!」
「いや、雛乃も共犯者だよ」
「適当なこと言ってんじゃねぇ!」
「嘘じゃないって、ね?」
興奮覚めやらぬ様子の村井君を余所に、佳代さんは飄々と答える。
俯き加減に頷き、上目遣いに言う。
