「一応幼なじみってヤツなんだよ。家も結構近くて」
「そうだったんですか。通りで仲良しなわけですね」
笑顔に戻った佳代さんを見てホっとする。
でも、佳代さんの笑顔からは苦味を感じた。
それ以上会話は続かず、俯いてしまった佳代さんを見つめる。
佳代、さん………?
その顔は、何とも言い難い表情をしていた。
「……私、何か悪いこと言ってしまったでしょうか?」
「………そんなことないよ。私こそごめん、気にしないで」
ワンテンポ遅れて返ってきた返事に、戸惑いを隠せない。
どうしちゃったんだろう。
私気に障るようなことを言ってしまったのでしょうか。
それとも村井君の話はしちゃいけなかったのかな…どうしよう……。
何か話そうとしてもいい話題が浮かばず、心なしかいつもより佳代さんの歩幅が広くなったように感じる。
結局気まずい雰囲気のまま分かれ道にきてしまい、いつもより少しだけ素っ気なく別れた。
