風のおとしもの。



      ***



「よぉ」

「村井君!」

「何、待ち伏せ?」


図書室に向かう途中で、窓に寄り掛かる村井君に出会った。
ニヤニヤする佳代さんは無視して、村井君は喋り出す。


「今日は餌付けしなかったんだな」

「餌付けって……私そんなつもりはなかったんですけどね」


小鳥さんたちのことだよね。
私は苦く笑いながら返すと、村井君は歯切れが悪そうに尋ねる。


「今日は、どこで食ってたんだ?」

「何、気になるの?」

「お前には聞いてねぇよ」

「えぇと、今日は佳代さんたちと食べました」

「そうか」


尋ねたわりにそっけない返事をし、村井君は踵を返した。
……何か、あったんでしょうか?