風のおとしもの。




「美紀さぁ、実は小鳥遊さんと話してみたかったんだよねぇ」

「私も少し気になってた」

「うぇっ、あ、あの。こっ、光栄です……!」

「なにそれ、おもしろーい☆」

「可愛いの間違いじゃないの?」

「佳代さぁ、やっぱ小鳥遊さんのことそーゆー目で見てたわけ?」

「そーゆーってどーゆーのだよ」



相変わらずな佳代さんと早乙女さんを無視し、藤沢さんは私に椅子を勧めてくれる。
軽くお辞儀をすると、藤沢さんは私の横に腰掛けた。
ショートヘアがすごく似合っていて、切れ長な瞳をしてる。
かっこいい人だなぁ。


「………なぁ、私も雛乃って呼んでいいか?」


思ってもいなかった提案にびっくりする。
そう言って微笑む藤沢さんはやっぱりかっこよくて、胸が弾んだ。


「はい、嬉しいです!」

「じゃあ美紀も呼ばしてー♪あ、美紀のことは美紀って呼んでね」

「私は里香。よろしく」

「はい!」








今日は中庭には行かなかった。

小鳥さんたちにパンくずをあげようかと思ってたけど、行かなかった。
教室で食べるお弁当は久しぶりで、少し緊張した。
……でも。

こんなに楽しい昼休みは、三年生になって初めてだ。