風のおとしもの。





「早く返せ」

「あ、はい」


私はカバンの中を探り、村井君の携帯を取り出す。
昨日勝手に『赤外線』というのをしてしまい、ちょっとだけ罪悪感が湧く。


「雛乃が必死で守ったんだから感謝しなよ」

「は?」

「山口が渡しなさいって無理矢理没収しようとしたのを雛が頭下げたんだよ」

「?」

「ね、雛。お願いしますって」


ニヤニヤする佳代さん。
ちょっと違うような気が………。
でもお願いしたのは確かだったのでコクリと頷いた。


「………そうか」

「村井、感謝は?」

「元はと言えばお前らのせいだろ、調子のんな」


カバンから取り出した携帯をしまい、村井君はさっさと席に戻って昼寝を始める。
お家の手伝いをされているので、それの疲れがとれていないのかもしれません。
村井君はいつも眠そうにしていますから。
ちょっと心配です。