風のおとしもの。




「雛乃、もっかい」

「えっ、あ、えと………かっ、かよ、さん」

「さん要らない」

「ぅえっ……か、かよ」

「うん、もっかい」

「か……佳代……」


俯いたまま顔を真っ赤にして言うと、盗み見た高見さんの顔も少し赤みが差している。
名前で呼んだだけなのに、何故か照れてしまった。


「なんか照れる」

「……ですね」

「でも、そっちのが私は嬉しい」


お互いに照れ笑いしながら次の言葉を探していると、藤沢里香さんと早乙女美紀さんがやってきた。
お二人は佳代さんのお友達で、いつもよく話されています。
私はお邪魔かなと思いはしても、恥ずかしさや嬉しさで頭も胸もいっぱいで、お二人を気にすることが出来なかった。


「あんたら、朝っぱらから何してんの」

「怪しい関係みたい」


佳代さんは何故か嫌そうな顔をして二人を見ている。