風のおとしもの。



    ***



「あ……」

「雛、おはよ」

「高見さん。あの……私、昨日考えたんです」


私の深刻な表情に気付き、高見さんは早足で席に着いてくれる。
どう切り出せばいいんだろう。
それに間違ってたら失礼かもしれないし、どうしよう。


「なんかあった?」

「高見さん、えと、私……」

「うん」

「………」


でも言わなくちゃダメだよね。
私のためにたくさんのことをしてくれた高見さんのためだから。
私は一瞬押し黙った後、掠れた声で呟く。
高見さんはよく聞き取れなかったみたいで耳を近づけてきた。
もっと大きな声で言わなくちゃ聞こえないって、頭ではわかっていたけれど、うまく声がでない。
もう一度呟くと、高見さんは驚いたような顔をして私を見つめる。
あ………伝わった、かな?
そ、それよりも、そんなにまじまじと見られるとちょっと恥ずかしい。