風のおとしもの。




「そんじゃ、また明日ね」


そんなことをしていると、いつもの分かれ道にさしかかる。


「はい、また明日」

「ちょっと暗いし、気をつけて帰りなよ」

「高見さんも」


私は笑顔で手を振ると、高見さんは迷ったように言う。


「……雛乃。私の名前、知ってる?」

「高見、佳代さん。ですよね?」

「ん。私、佳代ってんだ」

「?」

「……鈍感め」


よくわからなくて首を傾げるが、高見さんはなんでもないと言って手を振る。
でも高見さんの表情は暗かったように見えた。

そんな高見さんの顔を見て、また何かしてしまったんだと気づいた。