風のおとしもの。



    ***



「んーっ、今日も結構やったね」

「はい。今回は数学も頑張れそうです」


日も傾いてきた頃、図書室での勉強を終え、私たちは帰路につく。


「そういえばさ、村井の携帯、まだ見てなかったよね」

「え?」

「中をさ」

「だっ、駄目です!」

「バレないって」

「そういう問題じゃ―――」
「いいの、私が許す」

「いけません!」

「んー……そんじゃさ、雛乃の携帯も出して」

「わ、私の?」


中は見ないからさ、という高見さんの言葉を信じ、私は携帯を取り出す。