*** 「んーっ、今日も結構やったね」 「はい。今回は数学も頑張れそうです」 日も傾いてきた頃、図書室での勉強を終え、私たちは帰路につく。 「そういえばさ、村井の携帯、まだ見てなかったよね」 「え?」 「中をさ」 「だっ、駄目です!」 「バレないって」 「そういう問題じゃ―――」 「いいの、私が許す」 「いけません!」 「んー……そんじゃさ、雛乃の携帯も出して」 「わ、私の?」 中は見ないからさ、という高見さんの言葉を信じ、私は携帯を取り出す。