――――…おい……


誰……


―――おい、起きろ……


私、寝て……


――おい、小鳥遊…


嘘、今学校―――!






「―――いっ、今何時ですか!?」

「―――っ!?」


寝過ごしちゃった!?
私は飛び起きると、勢いよく尋ねる。
急に目を覚ました私に驚いた村井君は、一瞬言葉に詰まったようだ。


「もう予鈴がなった」



それを聞いて急いで立ち上がる。


「いけない、急がないと!」

「!ちょ、俺は―――」

「急がないと遅れちゃいますよ!」

「おい、引っ張るな!」


次の授業は数学の森下先生だ。
遅刻したら、なんて言われるか……。
想像しただけで恐ろしい。


「村井君、遅いです!」

「俺はサボるからいいって―――」


そういえば、村井君が私を起こしてくれたんだよね。
怖い人だって聞いてたけど、実はいい人なのかもしれない。
ちょっと嬉しくなって、村井君を引く手に力がこもった。


「―――起こすんじゃなかった……」