風のおとしもの。




「おばさん、あの……」

「なぁに?」

「………えと、何でもないです」


頭を下げ、そそくさと脇をすり抜けた。
そのまま部屋に戻ると、ベッドに寝そべる。


「はぁ……」




絵を描きたいんです。

なんて、冗談でも言えない。
私がそれをする権利はもうない。
仮にあったとしても、おばさんたちの目の届く所でやっていいことじゃない。
お母さんが元気だった頃は絵の勉強をしたいと思ったこともある。


……ううん、今も出来ることならそうしたい。
でも私は高卒で働くくらいじゃないとダメだ。
いつまでも養ってもらってばかりじゃダメ。

もしくは、おじさんは大学を勧めてくれてるから、せめていい大学に入って良いところに就職しなきゃ。
特待生制度があるところでもいい。


「…………はぁ」


ため息ばかり零れる。