風のおとしもの。






「……はい、到着」


無事保健室に着いたものの、先生が不在だった。
村井君は荒々しくドアを開けると、決して柔らかくないベッドに私を投げ降ろす。


「っ痛いです……」

「運んでやったんだから文句ゆーなよ」

「あ、あれは、村井君が勝手に―――!」


とっさに非難の声を上げると、村井君に顔を覗き込まれる。
観察するような村井君の視線に、出した勢いが引っ込んでしまう。


「……あの、なんですか?」

「いや。もう大丈夫そうだと思って」

「え……」

「お前のことだよ」

「あ、ありがとうございます」


軽く頭を下げると、そこに村井君の手が乗せられる。
何事かと思い村井君を見ていると、そのままわしゃわしゃと髪を乱された。
今朝も同じことされたような……。
でも村井君の方が少し乱暴で、痛くはなかったけど力強い。