風のおとしもの。




「つか、担いでいった方が早そうだな」

「え―――わ、うわっ!?」

「授業中だ、静かにしろ」

「で、でもっ」


抗議も空しく、軽々と担がれてしまった。
なんて突拍子もないことをする人なんだろ!
うぅ、この体勢はちょっと怖い。


「お前結構重いのな」

「っ―――!」


多分私の顔は真っ赤になっていたと思う。
叫ぶ代わりに村井君の背中を叩く。
いくらなんでも不躾過ぎます!


「これくらいだと、50はいかねぇな。そうだな、4……」

「そんなのっ、なんでわかるんですかっ!」


極力小さな声で反論すると、村井君はあっけらかんと答える。


「俺ん家、運送業やってるから。荷物運んでると物の重さがわかるようになんの」

「……お手伝いしてるんですか?」


ちょっと意外だなぁ。
って、そんなの失礼だよね。


「その俺の経験からすると、あんたの体重は―――」

「やっ、やめて下さいっ!」


ケタケタと笑う村井君は、階段もものともせず降り始める。
そんな村井君をすごいなと思いつつも、想像していたより失礼な人だと思った。