「雛、昼は中庭か?」

「あぁ……はい」

「そうか。なら行こう」

「で、でも………」


隣りを見る。
後ろ頭をかく佳代さんがいた。
………困ってる。

今朝もそんな雰囲気でした。
私のせいなのかな?
里香さんには悪いけど、やっぱり放ってはおけませんっ。


「あの、佳代さん……―――」

「雛乃」


伸ばした手をがっちりと掴まれてしまった。
ふと見ると里香さんの目が恐ろしく吊り上がっていた。
怖い……。


「………行くぞ」

「あっ」


そのまま手を引かれ、結局佳代さんと話すことは出来なかった。


でも…見間違いじゃないと思う。
私が声を掛けた時、一瞬だけ佳代さんの表情が緩んだこと。