俺の母さんは教育熱心な人で、中学からは塾だの習字だのに通わされ、家でもみっちりしごかれてた。
それだけならまだ良かったんだが、交友関係にまで監視が及んだ。
賢い子と付き合いなさいだとか、品のある子と遊びなさいだとか。
で、佳代は母さんの目に適わなかったわけで。
親には絶対服従。
勉強に必死だった俺は、佳代が母さんから嫌味言われてんのにも気が付かなかった。
それが原因か、話し掛けても素っ気なくする佳代を見て、段々と俺から話し掛けることもなくなっていった。
俺はと言えば、中学に上がると男女の仲なんてそんなもんかと妙に納得しちまって、俺たちはすっかり疎遠になっていた。
同じ高校に進学することになったのは意外だったが、嫌な気はしなかった。
つか佳代がそんなに賢いやつだと思ってなくて感心したっつーのが本音だけど。
一応進学校だし。
その進学校で落ちこぼれた先輩様方に意味わかんねぇ因縁吹っかけられたのが春くらいのこと。
入学当初は学年トップで入って目立ったし、仕方ないっちゃーそうだよな。
ま、あいつらが計算外だったのは俺の返り討ちだ。
