風のおとしもの。




「……ありがと」

「は?」

「なんでもない」

「変なやつ」

「……私がさ、子供っぽい嫉妬をしたんだ。で、雛乃をいじめてたわけ」


嫉妬?
…まぁなんであれ原因が佳代にあって今までのあの態度……。

いじめ、か。
あながち間違いじゃない表現かもな。
正義感の強かったこいつの性格を考えるとどうも結び付かないが…。


「屋上で話した時からだったよな、お前らがおかしくなったのって」

「うん。その時雛乃を傷つけた。嫉妬心が急に込み上げてきて、今まで我慢出来てたのが嘘みたいに本音が漏れた」

「佳代……?」

「ねぇ、鷹文。雛乃とはどういう関係なの?」


泣いてるのか?
訝しんで見ると、佳代が顔を上げる。
そのままずいと身を乗り出した佳代の目からは涙が流れていた。


「恋人、なの?何したの?ねぇ……」

「っおい、高見っ…―――」
「佳代、でしょ?」


どうしたってんだよ。
顔近ぇよ、つかなんで泣いてんだ………?